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Sew イベント デザインを介して会得する、デンマークと日本の習慣、文化、哲学

折り鶴とユールヤータ : DESIGN EVENT Japan x Denmark 2013

レポート

■デンマークらしさ日本らしさ

「デンマークについてあなたが知っているキーワードを教えてください。」
「あなたが推薦する日本のデザインとは?」

受付で配られた2枚のカード書かれた質問。これに対する回答を共有するところからイベントは始まりました。

デンマークはデザイン大国でありながら日本国内において「北欧の一部」としてしか認識されていないことがあります。

「デンマークについて色々話していると、”あ、それスウェーデンのことだよ”とか”それはフィンランドだよ”とかいろんな国がごっちゃになっていることが多いんですよ。」

今回の講師である岡村さんと打ち合わせをしているときにそういわれて自分もハッとしました。

「デンマークは人口が500万人しかいないとっても小さな国なんですね。でもデンマーク人はデンマーク独特の文化を愛しているし、強いアイデンティティを持っています。そういう意味では日本人にとても近いですね。」

実はこの企画、最初は単にデンマークのデザインを紹介する内容にしようと進めていました。しかし、岡村さんのお話を伺っていくうちに見えてきたのは日本との比較から描いたほうがデンマークらしさを上手く取り出すことができるのではという感触でした。そこで日本のデザインに精通している藤田さんに日本サイドの講師をお願いしてお二方による講師体制になったのです。

最初の質問ですが日本らしさとして挙げられたのは「桂離宮」「風呂敷」「着物」「扇」といった伝統的なアイコンから「アイドル」「マンホールの蓋」という意外なものまで。

「アイドルは日本独特だと思いますね。本当に良くデザインされている。」と藤田さん。
「デンマークではまず考えられないですね。デンマーク人の憧れの対象はスポーツ選手だったり、アーティストだったりするので。若い女の子がみんな同じ格好をして踊っているのは幼いというか・・・本当に衝撃的です。」と岡村さん。

「どこの市町村が管理している上下水道かわかるようにマンホールの蓋にマークをつけたのが始まりですね。それが今は景色やキャラクターを象ったりと百花繚乱な感じになっています。」
「日本で流行っているゆるキャラ。あれも町ごとにあるんですよね・・・。その発想はデンマークに無いんです。町自体の紋章はあってもそれをかわいくキャラクターにするというのはありえないです。」

反対にデンマークらしさというと「王室」「クロンボー城」「LEGO」といった意見が出ました。なかでも「ポール・ヘニングセンの照明」というキーワードには講師のお二人が、

「これ私の家でも使っていますね」
「僕も使っています」

と互いに日常触れているデザインということで詳しい解説が聞けました。どこから見ても電球が見えない。吊り下げる高さを調整すると影の落ち方が変わる。間接照明でやわらかく照らすことが部屋を美しく見せる。

「デンマークの家庭ではテーブルのすぐ上、かなり低い位置に下げるんですよ。でも日本では高いところに吊っているのを良く見ます。」
「下で焼肉とかやるともう大変ですからね。」
「その時はひゅっとフックで位置をずらすんです。」

何気ないやり取りから会場に笑いが起こります。ひとつの照明器具をとってもこれだけの思いがこめられているとは・・・。参加者の皆さん、うなづきながら聞いています。


■折り鶴とユールヤータ

アイスブレイクの時点で想像できないくらいの盛り上がりとなりましたが、いよいよワーク1「ユールヤータをつくってみよう」の開始です。

ユールヤータとはデンマークはじめ北欧諸国でメジャーなクリスマス飾り。ユールはクリスマス、ヤータは心臓(ハート)の意味で、その名の通りハート型をしたかわいらしいバスケットです。この中にチョコレートやキャンディーを入れてツリーに下げるそうで、北欧の子供たちなら小学生になるまでには誰でもつくれるようになるという生活に密着した存在だそうです。

この企画を進める段階で岡村さんから「これからクリスマスシーズンですし、みんなでユールヤータをつくりませんか」と提案を受け、話を伺ううちにその存在が日本の折り鶴に似ていることから今回のイベントタイトル『折り鶴とユールヤータ』が決まりました。どちらも子供でもつくれて、なによりつくり手が思いをこめて編み(折り)あげます。

でも、ただユールヤータをつくるだけではありません。今回はユールヤータをつくる時の紙の色にもこだわりを持たせています。それは「襲色目(かさねいろめ)」という日本伝統の色の組み合わせでつくること。日本は24の季節をもつ国であり、中世の貴族は季節ごとに重ね着する衣服の色を選んでいました。その重ねあわせでユールヤータを編もうというのです。

「今回はこれから飾るということで秋の色、冬の色を選んでみました。日本の色の名前って植物からとられているものが多いんですね。それだけ自然を意識してそれに合わせるということを大事にしてきたわけです。」

藤田さんの説明を受けて皆さんそれぞれ好きな色を手にとっては「これとこれだと・・・」「この組み合わせ綺麗!」と感想を口にしています。でも楽しいだけではありません。実は簡単そうに見えるユールヤータ、つくるのにはコツがいるんです。

「あれ、上手く編めないや・・・どうしてだ??」、「袋にならないぞ・・」
「こっちをこっちにくぐらせて・・・え、元に戻った??」

あちこちから疑問符のついた声が聞こえます。

「一回作ってしまえばあとは何度でもつくれるようになります。とはいっても複雑なものは大人でも大変ですけど。」

岡村さん、助手のジェニーさん、篠崎さんが各テーブルを回ってアドバイスします。25分経過・・・。やっと黒板に描かれた一足早いクリスマスツリーに皆さんのユールヤータが並びました。

「こんな色のユールヤータ、絶対デンマークでは見られないです。すごく綺麗!デンマークの人が見たらびっくりしますよ。」

岡村さんは満面の笑み。目がキラキラしています。参加者の皆さんもお互いの作品を比べて難しかったポイントやこだわりを交換しています。


■カタチをつくってこころを育てる

さていよいよ本日のメインイベント「ワーク2 両国アイテム比較」の開始です。デンマークと日本のデザインアイコンを4ジャンルで選定し、そこにこめられている思想、歴史、習慣を読み解こうという結構ハードなワーク。いよいよ対比アイテムの紹介です。

Category01 すわる
デンマークサイド ”セブンチェア” ― 日本サイド ”座布団”

Category02 そそぐ
デンマークサイド ”ボダム アッサム ティーポット” ― 日本サイド ”常滑焼急須”

Category03 あそぶ
デンマークサイド ”LEGO” ― 日本サイド ”ニンテンドーDS”

Category04 つつむ
デンマークサイド ”Simply Chocolate” ― 日本サイド ”然花抄院 然かすてら”


この比較は勝敗をつけるのではなく、このカタチになった理由は何かというところを掘り下げてお互いの国を知ろうというもの。アイテムが運び込まれてくると皆さん、興味津々です。それぞれ比較したいアイテムの前に集まり、議論開始です。


■生活をどう豊かにするのかがこめられたデザイン

「セブンチェアは最初からイスを作るというよりは100年にわたって作り続けられるものをという国のプロジェクトから生まれました。国が家具産業をとても大事にしていて公共施設には必ずデンマーク製の家具を入れるようにしているんです。」
「座布団はおもてなしのこころがこめられています。でも、座布団を庶民が使うようになった江戸時代はみんな貧しかった。そんなときに自分は板の間で客人に座布団を勧めるという自分を下げて相手を上げるという引き算の礼法ができたんですね。」

座るものの比較だけでも講師お二人からはこんなコメントがありました。それにも増して会場の皆さんの考察レベルが高いのにも驚きです。

「LEGOは今後も100年生き残っていくおもちゃだと思います。一方DSは家族だとか社会だとかそういう環境の変化に対応してどんどん姿を変えていくと思うんです。」

と参加者の方から考察が出れば・・・、

「そうですねLEGOはただのブロックじゃなくてデンマーク人のデザイン思想そのものです。極限までそぎ落とす。もう変えようが無いんです。LEGO自体をリスペクトしているデザイナーがたくさんいて、それはその思想を自分も受け継ぎたいと思っているんですね。」
「DSはゲーム専用機はまったく異なるアプローチからできています。勝った負けたが至上の世界では無くて、もっている一人ひとりに寄り添うというか生活のほうを重視して設計しています。だからDSを大人がやっていても不思議じゃないんです。僕もDSは持っていますがゲームソフトは全然持っていません。」

とお二方が返す。そんなやり取りがそれぞれのアイテムに対して行われました。


■モノを介して語り合う、解かりあう

いざワークを終えてみると予定終了時間を大幅にオーバーしていました。講師お二方のものの背後に潜んでいる思想や文化に対する解説はもとより、参加者の方からも活発な質問が出たり、すばらしいプレゼンテーションが展開されたり想像していたより何倍も多くの会話が起こりました。

お二方のまとめを聞いていると日本のデザインの特徴は「おもてなし」、デンマークデザインの特徴は「徹底した合理性」ということに集約されそうです。

相手とどう接するか、相手がどう受け止めるかを気遣って丁寧に何重も嗜好をこらす日本人。一方、無駄だと思えばズバッと切り捨てて素のままに近い状態をいかにストレートに伝えるか。そしてそれに素直に応えるかという姿勢を重視するデンマーク人。どちらが優れているというのではなく、話を聞いていくうちに互いにあこがれるポイントがあるのだということがわかります。

「日本人を観ていると、なんでそんなに丁寧にできるんだろうと感動します。」と岡村さん。
「”幸せですか?“と聞かれて”はい。”と即答できるデンマーク人ってすごいですよ。」と藤田さん。

ワークショップ終了後も講師、参加者を交えて互いのデザイン論議は続きました。
今後もこの成功を受けて、Sewではデンマークに限らず色々な国との文化交流イベントを企画していきたいと思います。ぜひご参加ください。

開催日時2013年9月26日(木) 19:00-21:00
会    場フューチャーワークスタジオ ”Sew”
開催場所東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート10F 東京メトロ赤坂見附駅D出口徒歩2分 永田町駅7番出口徒歩2分
定    員18名
参 加 費1000円(資料費,飲食代として)
主 催 者ayanomimi+藤田寿人/Sew運営委員会
概要 デンマークってどんな国?

アンデルセンの生まれた国で、のんびりしていそうで、北欧の国・・・。

そう、デンマークの話をしていくとだんだん北欧の話になっていきませんか。
でも、デンマークを簡単に「北欧の国」とくくってしまうのは、とてももったいない!

デンマークは家具をはじめLEGOのようなおもちゃや医薬品までモノを作る、デザインするということが非常に得意な国なんです。
一方、私たちが住んでいる日本もものづくりに関しては譲らないプライドを持った国です。

今回は決して対決というわけではなく、日本とデンマークのデザインに精通した専門家をお招きして、それぞれの共通点と相違点を探っていきます。



デンマークサイドはヤコブセン設計の家に暮らすデザインディレクターの岡村彩さん。

デンマークに生まれ育った岡村さんからは、まずデンマーク人から見た日本人や日本のデザインを語っていただきます。「デンマーク人は日本をとても尊敬していて、大好きですよ」という岡村さん。
続いてデンマークデザインの豆知識。デザインに影響を与えている歴史や生活習慣、社会制度などをわかりやすく紹介していただきます。



日本サイドはプロダクトデザイナーの藤田寿人さん。

長年家具のデザインをしてきた藤田さんは日本だけでなく様々な国のデザインを研究する研究者でもあります。今回は家具だけでなく、様々な身の回りのものにこめられた日本デザインの特徴を紹介していただきます。身近な存在過ぎて普段は意識しない日本のデザイン。その魅力を再認識する貴重な機会になりそうです。


さあ、モノやデザインに関心がある方だけでなく、ヨーロッパ、北欧が好きというあなた!生活の話や考え方の違いに触れるチャンスです。
詳細説明 18:30 開場
19:00 デンマークと日本のデザインとは
19:20 デンマークを知ろう01「白夜の日のすごし方」
19:50 デンマークを知ろう02 「ユールヤータを作ってみよう」
20:20 デンマークと日本のデザインの差を知ろう
21:00 終了 懇親会 (〜22:00)

岡村彩さん 藤田寿人さん

岡村 彩さん

デザインプロデューサー、ビジネスコンサルタント

デンマーク、コペンハーゲン生まれ、コペンハーゲン商科大学大学院卒。在学中、慶應義塾大学商学研究科、スペイン・コルドバ大学に留学。
2009年、ayanomimi設立。4カ国語でのコミュニケーション(日本語、デンマーク語、英語、スペイン語)活かし、グローバルな視点でクリエイティブ・ビジネスを進めている。2009年コペンハーゲン・起業家「若手起業家賞」受賞。2011年「クリィエイティブ起業家コンペティション」銀賞受賞。


藤田 寿人さん

プロダクトデザイナー/東北芸術工科大学 講師

1975年、山形県生まれ。東北芸術工科大学デザイン工学科卒業後、㈱岡村製作所入社。プロダクトデザイナーとしてオフィス用家具(イス、テーブル、パーティション)、教育用家具の設計に携わる。2012年より現職。専門は家具を中心とした生活用品のデザイン。

注意事項

当日はユールヤータを製作します。筆記用具やはさみ、カッターなどをご持参ください。無い場合は貸し出しいたします。

参加方法 本イベントは終了しました。

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