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Sew イベント ぼくらと本の新しい出会い方

解本新書

レポート

■エピソードが本をつなぐ

「ではワークショップのチーム分けをしたいと思いますので持ち寄った本をカウンターに並べていきましょう。早速、左からあいうえお順で並べてみて下さい。」

今回のファシリテーター、ブックピックオーケストラ川上さんの指示を受けて参加者の皆さんが持ち寄った本がカウンター上に並んでいきます。小説、ビジネス書、専門書、ビジュアルブック…どれもバラバラでここからつながりを見つけ出そうという今回の企画に一抹の不安を感じます。

さて、グループに分かれたらワーク1のスタートです。

「では、チームのメンバー同士で本の内容や手元にあるシートに書いてある質問についてエピソードを交えながら話してみてください。そこからキーワードがいくつか出てくると思います。それをシートに書き出してみましょう。最初に出会った時のこと、合わせて聞きたい音楽など質問に答えていくうちにまず自分とその本との距離がわかってきます。」

川上さんと今回の企画を考えていく中で、ここが面白いと盛り上がったのは「好きの正体を共有する」ということです。

「“この本大好きなんです”といって紹介されたとしても“ふーん”で終わってしまいます。実は“好き”を伝えるときには対象と自分の距離というか個人的なエピソードを語るしかありません。そしてエピソードを互いに紹介しあうと、全然違うジャンルの本であっても強く結びついたりします。そこには今までに見つからなかった新しいつながりができているんです。」

なるほど。そのエピソードを引き出すために用意されたのが配布された質問シートというわけですね。最初はグループに分かれてそれぞれが質問に答える形でワークを進めていきます。実はこの大好きな本を人に紹介するという作業。前回の『本の重心、僕らの関心』でも行った作業です。ただ、その時の反省として出ていた、いきなり好きな理由を話すのではなく何かきっかけがあったほうが打ち解けやすいという点が生かされています。と、心配をよそに早くも白熱してきて書き留めるよりも話し込む姿が多く見受けられます。


■つながりを目でとらえる

さて、一通り質問シートに答えを書きこんだらワーク2のスタートです。今組んでいる人とは異なるメンバーと2人1組になってお互いの本のキーワードを見せ合い、共通するものを見つけるというもの。これまでのワークで大体1冊について30キーワードくらいが抽出されているのでここからなら接点が見つかりそうです。

「本を介して人をつなぐっていうとかなり漠然としてしまいますけど、今回はリブログラフというソフトの力を借りてちゃんとつながりを目で見えるようにします」

今回のゲストのもう一方であるリブログラフさん。本を介してのつながりを可視化するアプリケーション“Librograph”を開発したメンバーが今回のワークショップでのやり取りを記録し、つながりを可視化する作業をサポートしてくれます。リブログラフは本同士のつながりを可視化するソフトですが、単純に本同士を紐づけるだけではなく、場所や映像、音楽、人など様々なメディア、対象を結びつけることができます。全然知らない人と同じ本を読むことによってつながりができ、その背景を覗き見ることができる。そんなドキドキ感を持ったアプリケーションがリブログラフです。

今回のワークショップでも「あの場所で読んだ本」「一緒に読んだ人」「一緒に聞きたい音楽」「料理に例えると」といったように本が基軸となってその周りに(音楽や映画、人物、料理といった)豊かな世界が構成され、さらにその世界同士がつながりあっていくという風に広がっていのです。

「では2人一組に分かれて互いのキーワードに共通点がないかを照らし合わせてください。たとえば同じ“楽しい”というキーワードだったりしてもそれが出てきた背景は異なると思います。それを共有するとお互いの本がぐっと近づいてきます。」

お互いに本のキーワードを見せ合い、共通するものが見つかったら手元に配られた「つながりカード」に記入して残します。ただキーワードを記すだけでなく、そのキーワードが選ばれた背景も併せて記録するので意外な内容がカードに書かれ、積もっていきます。この短時間のワークを5回も繰り返すといろいろな人との間につながりが現れてきました。

「こんなにたくさんのつながりが出てくるなんて想像以上ですね。プレゼンの時までに(入力)間に合うかな…。」

リブログラフチームのうれしい悲鳴が聞こえてきます。二冊の本を選んでその間につながりのキーワードと由来を打ち込んでいくのですが、皆さんの書かれたことをくみ上げていくのに時間がかかるようです。

会の最初に、カウンターの上に一斉に並べた時にはまったくジャンルがバラバラでつながりが想像できなかった本たちの間に次々とつながりが生まれていきます。傍で見ていると、実は本の内容だけでなくその後ろに潜んでいる体験や思いがいかに共有できるかが両者をつなげる重要な要素になっていることがわかります。まさに川上さんが狙っていた「好きの正体の確認」が起こっていたのです。

参加者の皆さんが熱心につながりを探している間にもプロジェクションされたリブログラフのつながりはムクムクと広がっていき、つながりの触手が拡大していきます。


■不思議なつながりを持つ本棚

「どうですか、そろそろ作業を止めて出てきたつながりについて紹介してもらいましょうか。」

川上さんの呼びかけにより、プレゼンの時間に移ります。プロジェクションされたリブログラフには自分が持ってきた本が組み込まれていて、さらにそれが他の本とつながっている…。

「ここに自分たちが今やったことが全部出ているんですか?」
「これって自分の手元でも見れるんですか?」

プレゼンが始まる前から皆さん興味津々です。
川上さんが手元にあるつながりカードから面白そうなものをピックアップして紹介していきます。

「これ、ちょっと意味が分からないんですけど、“次郎つながり“っていうこの2冊はいったいなんでしょうか?どなたですか、説明をお願いします。」
「これはですね…、著者の名前に“次郎”がついているんですよ。一冊は浅田次郎、もう一冊は野中郁次郎。」
「郁次郎から“次郎”かなり強引ですけど、でも全然違うジャンルの本ですよね。よくつながったというか。確かに内容で結びつけるのは難しいかな…。」

多少強引なつながりでしたが何をきっかけにつながりが生まれるかわからない可能性が感じられます。

「この“普遍性”っていうつながりはなんでしょう?」
「一冊はナボコフの『ロリータ』、もう一冊は『フォントの不思議』です。ロリータは人間の心の中には何千年も前からこういう感情があるのではないのか、というのとフォントもずっと受け継がれてきたものでどちらもきれいなものに対する憧れというかそういうものが根底にあるかなと。」
「なるほど、深いですね。美しさに対する憧れという普遍性でこの2冊をつなぐとは…。」

次々と紹介されるつながりにはそれぞれ面白いエピソードが込められています。

「今日生まれたつながりはとても貴重です。書店ではこのようなつながりで本が並ぶことはほとんどありません。私たちは普段“この作家が好き”とか“このジャンルは知っている”というように認識して、本を選んでいます。それももちろん一つの有益な選び方です。でもそういった選び方では決して出会わないような本と今日は知り合ったわけです。そして振り返ってみてもらえればと思うのですが、大好きな本を紹介しあっているとそこに紹介した本人が現れるんですね。つまり本のつながりを作ることが結果的にお互いを紹介しあうことになっていて、人の出会いにもなっているんです。」

本を介したイベントは昨年の『本の重心、僕らの関心』に続き二回目。ハードルが高いと感じられるのか参加人数は多くはないのですが、どちらの回も本に精通している人たちの会ではなく、本に出会いたい人たちが楽しんでいる会という印象を受けました。読書の秋、自分では探しきれなかった本を参加者のみなさんそれぞれが持って帰れたのではないでしょうか。

川上さんが帰り際に言われていた

「Sewの本イベントは本当に濃いですね。内容もそうですが、つながりが濃いのがとてもいいなぁと。」

という感想が今回の充実感をそのまま表していると思いました。


■当日生まれたつながりをリブログラフで

その1
その2

リブログラフは現在iPhone,iPadで利用可能です。PC版の開発も行っており、今後より多くのプラットフォームに拡大していく予定です。リブログラフについては以下をご参照ください。

http://librograph.com/
librograph‐iTunes Store


■当日持ち寄られた本     タイトルをクリックするとamazonのリンクに飛びます

『フォントの不思議 ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?』小林 章

『ドラえもん短歌』枡野 浩一

『メイド イン ジャパン』黒田晶

『(株)貧困大国アメリカ』堤 未果

『地域を変えるミュージアム 未来を育む場のデザイン』玉村 雅敏

『シェア』レイチェル・ボッツマン

『アジア新聞屋台村』高野秀行

『自然農への道』川口 由一

『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』ちきりん

『天切り松 闇がたり 1 闇の花道』浅田次郎

『Re:PUBLIC 公共空間のリノベーション』馬場正尊

『知識創造企業』野中郁次郎

開催日時2013年10月18日(金) 19:00-21:00
会    場フューチャーワークスタジオ ”Sew”
開催場所東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート10F 東京メトロ赤坂見附駅D出口徒歩2分 永田町駅7番出口徒歩2分
定    員19名
参 加 費1000円(飲みもの、軽食代として)
主 催 者book pick orchestra / Librograph / Sew運営委員会
概要 本屋さんや図書館に行くと、多くの本はどのように分類されているでしょうか?


ジャンル別、作家別、シリーズ別、出版社別などの分類が代表的です。
例えば、ジャンル別だったら、ミステリー、SF、エッセイ、歴史……
こういった分類は、目的の本を探すには適しているかもしれませんが、
ワクワクするような思いもよらない本との出会いには向いていません。

試しに1冊の本を手に取り読んでみると、当たり前ですが多くの言葉や話が出てきます。
本の表紙やカバーなどの外見や、ジャンル分けからは思いもよらない内容が、
その本の中には含まれています。それは本の深みを感じさせる魅力の一つです。
「解本新書」は、そういったジャンルに括れない要素にまで本を解体していき、
その先にぼくらと本の新しい出会い方を見つけようという試みです。


本が好きな方はもちろん、本には詳しくない方も、
ワクワクするような新しい本に出会いたい、新たな本との出会い方を体験したい、
という方は、どんな方でもみなさん参加大歓迎です。
当日参加される方は、読んでいる本を1冊ご持参ください。
その本はあなたにとっては、新たな本との出会いにつながる扉に、
他の参加者の方にとっては、新たに出会う本になります。
また、今回はLibrograph/リブログラフという連想アプリを使って、
当日の様子をリアルタイムに図にしてweb上で共有するという試みも行っていきます。


イベント後、ワークショップの体験を共有するパーティーを予定しています。
ご都合がよろしい方はご参加ください。
詳細説明 18:30 開場
19:00 イベントの趣旨説明、ルール説明、全体の流れ
19:20 本のプロファイリング
20:00 【本のつながり作り part1】
20:20 【本のつながり作り part2】
20:40 プレゼン・発表
21:00 終了 → パーティー

川上洋平さん 石井大輔さん

川上洋平さん

book pick orchestra代表

本のある生活をふやすために、人と本が出会う素敵な偶然を演出するために、さまざまな場所で今までなかった本のあり方を模索するブックピックオーケストラ代表。益子STARNET、渋谷SUNDAY ISSUE、新宿HAPONをはじめとする各地での古書のセレクト販売や、テーマに合わせた企画での各地のイベント出店、オリジナル商品文庫本葉書の全国の店舗での販売など、様々な場所で独自の本の展示、販売スタイルを展開している。

http://www.bookpickorchestra.com



石井大輔さん

Librograph 代表

人々が仕組みや制度に囚われず活躍できる仕組みを構築する為、働く育児父母をサポートする民営保育園や関連する教育プログラム、プロジェクトを展開する有限会社エム・シー・スクエア代表。
プロジェクトの一つから開発したLibrographは本から連想した様々なコンテンツをつなげて可視化するiphoneアプリ。今回のワークショップでも活用し、参加者全体で本の見えなかった新しいつながりを共有していく。

http://librograph.com/  

注意事項

当日は本を介して新たな関係を見つけ出します。「大好きな本」「大事な人に薦めたい本」を1冊ご持参ください。

参加方法 このイベントは終了しました。

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