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Sew イベント みんなが利益を得るデザイン

これからの公共

レポート

■公共のイメージを合わせる

「“公共“という言葉を使うにしても、皆さんの中で持たれているイメージってバラバラなんじゃないかと思うんです。ある人は公共事業とか公共施設だとか、お役所の何かという風にとらえるかもしれないし、もっと柔らかく、みんなが納得するっていうイメージの人もいるかと…」

酒井さんはレクチャの冒頭で投げかけたのは「公共」のとらえにくさ、そして認識の多様さでした。今回酒井さんに講師をお願いするにあたって打ち合わせを重ねるうちに現れてきたのが「公共」という言葉。しかし、酒井さんは使い古された「公共」ではなくて、これからの「公共」を扱いたいとおっしゃられていました。

×全体の利益のみを優先
△「滅私奉公」ではなく「活私開公」
○私とあなたで共通の利益を育てる

これは酒井さんが今持たれている公共のイメージです。

「全体の利益ってなんかこうぼやっとしていて、なんとなくそれを目指してやっている感があっても、じゃあ全体ってどこまでなの?ってわからなくなってくる。“大きな何か”みたいなことになって、全員が受益者でなければいけないとなると、とても大変になってしまいます。
“滅私奉公”っていうのは公共のイメージとしてちょっと違うと思うんですよね。何でも無料、活動はボランタリーにという風になると、じゃあ責任はだれがとるんですかということになります。そこで“活私開公“なんてことをいう人が居たりして、なんかうまくいっているようでこれも伝わりにくいなと。
僕の中では、ちゃんと目の前にいる相手つまり、あなたの利益とは、そして私の利益とはというところから小さくスタートして互いがちゃんと確認し合いながら作り上げていく。それがこれからの公共のイメージです。」



■公共とデザイン

酒井さんとの打ち合わせで話題になったのは、公共のサービスや物が役場、役人によってもたらされるものではないということ。かといってみんなが何の利益も求めずに理想ばかりをぶつけるのでもないよね、ということでした。

「今までの公共のモデルって“お伺いサービス”なんですね。何をやりたいかみんなに聴いて回って、それを代行する。みんなの意見をまとめようとするからサービスとしてなんか物足りなかったりぼやっとしてしまったり…。」

こうした「お伺い型」に対し、酒井さんが提起するのは「共感型」のサービスです。

「意見を聴く前に問題を見つけ出してビジョンを作ってしまいます。そしてそれに関係しそうな人たちに話を聴いてそれぞれが利益を得られるように仕組みをデザインします。なにより誰かが代行するのではなく、意見を言った人を主体的な実行者として巻き込んでいく。こうやって進めていくのが共感型のサービスなんですね。」

そしてその際に大事なのがデザインの視点だそうです。

「メディアを作るにもイベントを催すにも“本気だぞ”という感じを出すのは大事です。またビジョンをわかりやすく伝えるのにもデザインの力は欠かせません。地域には何かをやりたいという人と、何かやってくれる人はいないかという出合わせたら面白いことが起こせそうな人がたくさんいるんですね。それをデザインの力で出合わせるのが僕らのやっていることです。」



■みんなが利益を得るデザイン

続いて酒井さんが今まで取り組んでこられた案件の紹介が行われました。
まずは立川の地域FM局で放送されていた『東京ウエッサイ』というラジオ番組の話です。

「『東京ウエッサイ』は東京の西、立川市を基盤とするFM立川でやっていた番組です。コミュニティラジオって実はコンテンツを持続的に作ることの負担が大きくって、全部埋められないときには他局から番組を買ってきたりするのでコスト的にも困っているんです。だったら地域おこしのための番組作らせてくださいと。そしてそれを流す枠をもらえませんかということを持ちかけて実現したのが『東京ウエッサイ』です。ラジオ局も助かる。僕らも自分たちの考えを伝えるメディアを手に入れられる。地域の人は自分たちの情報を流せるということで、それぞれが利益を得るような仕組みになっています。立川は東京の西部でそれなりにいい街なんですけれど立川でなければっていう強みがなくて。だから地元の面白い人やお店の人に立川を語ってもらおうということで進めました。」

コンテンツを作るというとものすごく労力がかかりそうですが、酒井さんたちは本業の傍らでやっているので基本的に収録、編集は行わず、生放送に徹していたそうです。でもかえってその方が面白い内容が多いと人気を呼び4年にわたって放送が続きました。

次は今でも定期的に開かれている『青空ガーデン』。ルミネ立川の屋上に地域の小さなお店を集めたマーケットやワークショップを開いて地域の魅力を知ってもらおうというイベントです。

「ルミネさんにしてみれば立川に長いこといるのに地域との協調がはかれていないという意識があって、また屋上で何かをやることで今までルミネに来なかった人たちに来てもらえるわけです。地域のお店にしてみればルミネの集客力をもって自分たちの店を宣伝できる。地域の人は新たな地域の魅力を手に入れる。ここでも関係者それぞれが利益を得る仕組みを作っています。」

酒井さんたちの役割はというと『AOZORA GARDEN』というフリーペーパーを作ってイベントに出店する人たちのインタビューをしたり、ルミネ店内にある意外なアイテム紹介などそれぞれをつなぎ合わせるために効果的なメディアを編集します。そうすることで、今までは大型商業施設と地元小売店という対立構図が描かれていたところに、共に地域を考えるという地盤を作ろうというのです。



■Sewを使い倒そう

さて、後半はワークショップです。今回のテーマは“Sewを使い倒す”。今、実際に参加者の皆さんが居るSewで「新しい働き方」に関するイベントを企画してもらうというものです。ただし、条件としては提案する参加者グループにも、Sewの運営スタッフにも、そしてその企画を体験する人たちにも利益があること。そのための「ビジョン」と「アクション」を考えてもらいます。

「新しいはたらき方…。何が変わると良いのかな?」
「もっといろんな仕事の現場を知りたいですよね。自分の仕事のことしか知らないのはもったいなくないですか?」

会場からいろいろな声が聞こえてきます。集まっている参加者は学生さんからベテラン(とお見受けした)サラリーマンまで幅広い年代。それぞれの視点からこれからのはたらき方が語られています。一方では、

「ここにきて何を持ち帰ってもらえればいいんでしょうね?」
「これって対象はどんな人たちでしょうか。」

と今回のテーマである「みんなが利益を得る」に対する議論も起こっています。酒井さんのレクチャを受けて意図が十分に伝わったようです。



■みなさん×Sew=??

それではワークショップの成果を各グループごとに並べましょう。

1) お仕事交換会
参加者が互いに肩書きを交換し合い、相手になりきって一日仕事をする。職場環境や仕事のやり取りなどいつもの自分と違う経験をすることでこれからのはたらき方を見つめなおす。

2) 煙草ミーティングのさらに先
喫煙室で話が進むという経験から、たばこ以外にそうした効果を生み出すものがないか検証する会。小動物を出席させた会議を体験。常にヤギが出席する会議など。またランチを持ち回りで作ってそれを食べながら会議するなど。気兼ねなく意見が言える会議をデザインする会。

3) 学生が社会を知る会
就職活動でいきなり会社を知るのではなく、現役社員と交流することからいろいろな会社があることを知る会。ただの会社説明会ではなく、一緒にワークショップを行うなどしてインフォーマルな情報なども共有する機会をつくる。

4) 複数の名刺をつくる会
自分が今持っているのとは違う名刺をつくる。なりたいもの、なれなかったもの、特異なもの…。それをオーナメントとしてクリスマスツリーに掛けて共有する。後日その名刺を閲覧できるサイトを設けマッチングを行う。一年後再開してどのような変化があったかを共有する。

5) エクストリーム・サテライト・オフィス
「いつでもどこでもだれとでも」のはたらき方の極北を行く企画。参加者全員、Sewには集まらず、自らのパソコンの前に座って与えられた課題をネットワークを介して協力しながら解く。たとえば一緒になって小説を書きあげるとか。Sewではスタッフと講師がスタンバイしていてネットで講評する。

6) 仕事フリーマーケット
参加者がそれぞれ今仕事で困っていることをプレゼンし、それに対して援助の手を差し伸べることができる人がいないかを探す会。実際に直近のことからネットワーキングが図れる。

どれも面白そうで講師・ファシリテーターが見つかればすぐにでも企画スタートになりそうです。



■公共は見物に回らず参加するもの

酒井さんがまとめとして語られていた内容で印象に残ったのは「まずやってみる」ことです。公共というと漠然とし、大きすぎて自分では何もできないもの、ある意味享受するものとして受け止められがちです。でもそれを身近に手を付けられる単位まで小さくすることが大事だと酒井さんは言います。それは今回提示された「私とあなた」という関係かもしれません。その単位に落ちてくればまず気軽に一歩が踏み出せるのです。

そしてもう一つ、「自分がしたいことと同じくらい相手がしたいことを大事にする」という言葉も心に残りました。相手が見えるからこそ、話し合えるからこそ相手の要望をくみ上げやすくなります。そこで自分がやりたいことを押し切るのではなく、互いに共感できるポイントを見つけていく。その共感を広めていくためにデザインの力を使う。実にわかりやすい構図が参加者の中に残る会となりました。

開催日時2013年12月17日(火) 19:00-21:00
会    場フューチャーワークスタジオ ”Sew”
開催場所東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート10F 東京メトロ赤坂見附駅D出口徒歩2分 永田町駅7番出口徒歩2分
定    員24名
参 加 費1000円(飲みもの、軽食代として)
主 催 者株式会社リライト/Sew運営委員会
概要 デザインは誰のもの?

デザインはみんなのものです。
デザインはみんなの課題を解決する手法です。

なのでデザインは単に企業が利益を得るためのテクニックではありません。
デザインはみんなが利益を得るためのひとつの考え方であり社会活動です。

ですがデザインだけでは、なかなか社会は変えられません。
デザインを実践するためには、個人や企業の垣根を越えて、みんなの力を持ち寄ることが必要です。

さらにデザインするためには、みんなが抱える課題のことを良く知ることが重要です。
デザインはただの直感や思いつきではないのです。

今回は新しい公共をテーマに、みんなが利益を得るデザインって何だろう?を
一緒に考えてみませんか?

コミュニティデザイン、ソーシャルデザイン、地域活性化、合意形成、地域メディアなどのキーワードに関心がある方は、きっと楽しんでいただけると思います。

イベント後、ワークショップの体験を共有するパーティーを予定しています。
ご都合がよろしい方はご参加ください。
詳細説明 18;30 開場
19:00 はじめに 趣旨説明
19:10 レクチャー&事例紹介
19:45 ワークショップのテーマ出題・説明
20:00 グループディスカッション
20:30 発表

21:00 懇親会
22:00 解散

酒井博基さん

株式会社リライト Creative Director

1977年和歌山県生まれ。2002年武蔵野美術大学大学院修了。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科博士課程では地域メディアを研究。
クライアント企業向けに、クリエイターの枠を超え、コンセプト段階からプロジェクトに関わり、クリエイティブディレクションをはじめ、企業や、ブランドのマーケティング価値を最大化することを実践。一方で、また食育や地域活性化などのデザインプロジェクトも自身で仕掛けるなど、幅広く活動。

http://www.re-write.co.jp/

注意事項

参加方法 本イベントは終了しました。

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