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Sew イベント 書くコト、オモシロイ

書心、忘るべからず

レポート

■筆ペンの手軽さと情熱

「書道って面白くて、最初はみんなうまく書けないと思われるのか書き出そうとしないんですよ。でも書き始めてしまうとみんな、もっと書かせてと熱心に取り組むんです。」

講師の日置さんは様々なスケールやシチュエーションで書のワークショップを開かれている書家。過去の経験から書と現代人の接点についてこう感じられたそうです。

「今回お話をいただいて、長い時間をかけて何回も打合せをするうちに、やっぱりここだけで終わるのではなくて、日常生活の中で使える書の魅力みたいなものを持って帰ってもらいたいなと思いました。そこで目を付けたのが筆ペンです。」

書道ではまず墨をすって、精神統一を図ってから筆を手に取ります。しかし、仕事に忙しい現代人がオフィスで墨をするなんてまず無理だと考えたのが筆ペンを選んだきっかけです。さらに日置さんがぺんてるの菊池さんとお知り合いだったことからも話がとんとん拍子に進みました。

「みなさん、最近消せるボールペンをお持ちで、あれって確かに大発明だと思うんですよね。でも、世の中にはもうひとつ筆ペンという大発明があるんです。だって、キャップを取ったらすぐに毛筆が書けちゃうんですよ。このすごさを体験するとだれもがペンケースに1、2本筆ペンを入れていないともったいないと感じると思います。」

書を愛する日置さんはそれと同じくらい筆ペンラブでもあるようです。続けて筆ペンを作る側としてぺんてるの菊池さんから筆ペンに関するプレゼンテーションが行われました。

「筆ペンってアナログなツールですけれど実はものすごい技術の結晶なのです。筆先の断面を見ても、異なる形の毛を組み合わせて絶妙のしなりを生み出せるようにしています。また、墨に関しても単に墨汁を詰めるだけではなく、工夫をしています。」

日常生活の中では冠婚葬祭の受付ぐらいでしか手にすることがない筆ペン。しかし、その手軽さや墨を引く気持ちよさは確かにもっと活用しないともったいないかもしれません。

「最近はカラーブラシとして使えないかという要望がありまして、黒や薄墨だけではなく、カラーの筆ペンも出しています。金や銀などほら、とってもおめでたい気分がするでしょ。」

説明をする菊池さんもさすがに自社商品とあって日置さんに負けず筆ペンラブのオーラを放っています。こうした話を聞くうちに「はやく筆ペンで何か書きたい」という気持ちが湧きあがってきました。



■うまくなければ書ではない?

「書をたしなむことを勧めようとすると、必ずうまく書けないという事で敬遠される方がいるんですね。でも、それは全く違います。確かに毛筆は硬筆と違って手の運動がそのまま筆先から紙に写るので、ぶれたり、かすれたり、にじんだりします。でも、それがいいんです。心や手の動きがそのまま出る。つまり書いた人の状況や心境をそこから読み取ることが出来るんです。文章の意味だけではないことが伝わるってすごいと思いません?」

と日置さんが目を輝かせながら説明します。

「たとえば雨という漢字を書くとしても…、こうほそーくながーく書くとなんかそういう雨が降っている気がする。もっと強く太く書くと豪雨ですよね。まあるく、優しく書くと暖かくて嫌な雨ではなくなります。どれも楷書で書いてこれがキレイというのとは違いますが、でも間違いではないし、伝えたい対象を写し取るにはキレイに書くことを意識しなくていいんですよ。」

日置さんがすらすらと書きだす文字のバリエーションに会場からは「おぉ~」っと歓声が上がります。この説明を受けて参加者の皆さんの「うまく書かなければいけない」という意識は取り払われたようです。

日置さんが出した一つ目のワークはなんと「穴埋め」。相田みつをさん、空海など書の達人や独特の表現を行った人の作品の一部を隠して、そこに自分なりの文字を補うというものです。達人と言われる人の書も実は楷書できっちり書かれているのではなく、その時の状況を伝えるために崩されていたり、力が込められていたりします。それを推測して穴埋めをしようというのです。

(著作権の関係でここでは具体的な出題内容はお伝え出来ません。すみません。)



■花押をつくってみよう

日置さんからの2つ目のワークは「花押」を作ろうというものです。花押とは戦国武将や総理大臣が持っている自分が書いたことを証明するための1文字サインです。ただ、名前の一部分を抽出して変形させているので、漢字がそのまま花押になるわけではありません。

「花押って現代では使うことがあまりないかもしれませんが、書をしたためた後にハンコをポンと押すように、傍らにそっとそえられたらカッコいいと思いませんか。ただ、花押には正式な作り方があって、それをここで一からやろうとなるとそれだけで今日のワークショップが終わってしまいます。そこで、考えたんですけど、だれでも花押っぽいモノがすぐに書けてしまうテクニックっていうのを実践しようと。それは、目をつぶって自分の名前の一文字を書くというものです。」

日置さんの説明を聞いて、ためしに目をつむって名前の一文字を書いてみます。と…、なんとそれっぽい字になるではないですか。これには参加者の皆さんもビックリ。

「なんか適当な方法だと思われるかもしれませんが、やってみるとかなりいい線行くんですよね。出来上がりが目を開けるまでわからないってのも魅力的です。」



■あなたの心を見せてください

日置さんから出された最後のワークはミニ掛け軸を作るというものでした。はがき大の紙に筆ペンで書をしたためて、先ほどの花押を添え、掛け軸フォルダーに挿入すれば出来上がりです。さて、何の文字を書くのかというと…

「みなさんには“心”って書いて欲しいんですね。ひらがなでも、カタカナでも構いません。で、例えば今の心境とか、過去の嬉しかった体験とか、悲しかった体験とかそういうものを思いながら書いて欲しいと思います。そうするとたくさんの“心”の掛け軸が出来上がりますよね。で、最後にそれがどんな心を表しているのかプレゼンをしてもらいたいと思います。」

会場では皆さん熱心に下書き用の紙を使って試し書きをしています。文字の形もそうですが、用意された色とりどりの筆ペンからどの色を選ぶかもポイントです。

「カラーの筆ペンは2色混ぜたり、重ね塗りもできますよ。グラデーションを作ったりしても面白いです。」

菊池さんも筆ペンの新しい使い方を説明します。今まで黒しかないと思っていた筆ペンの可能性に会場では参加者の皆さんが試行錯誤を繰り返す姿が見られました。



■ビジネスライクから零れ落ちるもの

日置さんと打合せをしていて、気付いたのは、確かにパソコンは便利で、漢字も勝手に変換してくれるし、誰もがきれいな文書を作成することが出来ます。しかし、それはあくまで機械的に情報を伝えるために研がれた姿であり、情感やお互いの状況を共有するために整えられた姿ではありません。

「筆で書くってその人が現れるんですよね。だから昔の人の書簡を見てみると、上手下手を越えて、もう全然読めなかったりします。それだけ感情が入っているんです。受け取る側も開いた時点で、ぶわっとそういう情報が入ってくる。文字以上に情報を伝えるメディアが乏しかった時代には文字に何かを込めるしかなかった。だから文字に自分を込めたんだと私は思っています。」

なるほど、ビジネスの現場を毛筆ですべてこなすのは非現実的かもしれませんが、友達とのやり取りや季節のあいさつなどの際には毛筆が持つ特性を活かしてみたいと感じました。また、ぺんてるさんのご協力により、筆ペンが持つ可能性を知ることが出来たのも、参加者の皆さんにとっては大きな収穫だったのではないでしょうか。


日置さん、ぺんてるさんありがとうございました。

開催日時2014年6月27日(金) 19:00−21:00 (開場 18:30)
会    場フューチャーワークスタジオ Sew
開催場所〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート10F
参 加 費1000円(材料費・飲食代として)
主 催 者有限会社PLaY / ぺんてる株式会社 / Sew運営委員会
概要 書道なんて中学校以来?

最近、文書作成はもっぱらパソコンで、文字を書く事が少なくなった人も多いはず。
でも、肉筆にはそれでしか伝えられないコトがたくさんあります.
その時その時の感情だったり、状況だったり、そして自己表現だったり。

上手く書く必要はありません。
上手い書=綺麗な文字=良い書では決して無いからです。
でも、良い書には、良い書たる所以があります。

今回はぺんてるさんのご協力のもと、色々な筆ペンを用いて文字と向き合うワークショップを開催します.
戦国時代の武将のように、自分の花押を作ってみませんか。
また、書で感情を表現する方法を身につけませんか。

書道教室では習う事ができない、身近で実用的な書の世界へご案内します。
詳細説明 18:30 開場
19:00~1920 趣旨説明・ミニレクチャ
19:20~20:00 ワークショップ01 著名書家を採点する 綺麗に書くは意味が無い?
20:20~20:40 ワークショップ02 花押を作る心を描く 気持ちをこめた表現のための書道
20:40~21:00 講師による結果発表、講評
21:00~22:00 懇親会

日置 恵さん

書家・デザイナー

学生書道で特待生取得。後、シズル感のある文字を書きたくて独学。現在は改めて古典を勉強中。
広告、ロゴ、パッケージ、POP等のデザイン、ディレクションの仕事を経て「有限会社PLaY」にて筆文字を得意としたデザインをしている。
また書道を軸にしたワークショップやパフォーマンスをいろいろな場所で展開している。

2009年~ウラハラ藝大「おいしい書道」教授
2013年~自由大学「筆文字の衝動」教授
個展回数は20回、企画展グループ展等多数出展

おいしい書道WEB
http://urahara-hioki.sblo.jp/

注意事項

・筆ペンを用いてのワークショップですので,手や服などに墨汁がつく場合があります。汚れても良い服装でお願いいたします。
・定員を上回るお申し込みを承っております。キャンセルされる場合にはお早めにお知らせください。また、ワークショップ形式ですので遅刻はご遠慮ください。定刻に開始させて頂きます。

参加方法 本イベントは終了しました

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