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Sew イベント 『ワーク・ルールズ!』読書会

誰のためのルール?

レポート

■「働かせる」を自分事にする

「参加者のみなさんの中でこの本(ワーク・ルールズ!)を読破したという方はどれくらいいらっしゃいますか?」

今回、ファシリテーターを務める岡村製作所オフィス研究所の山田の質問に会場の3割くらいの方の手が挙がりました。

「では今、読んでいる途中だという人!」

今度は半数くらいの手が挙がりました。

「残りの方は…」

の問いかけに会場に笑いが起こります。

Sewで読書会が開催されるのはリンダ・グラットン著『ワークシフト』(2012年)以来、2回目となります。「読書会」と銘打っていますが、Sewのイベントですのでもちろんワークショップ形式で行い、きちんと解説を加えますので、必ずしも書籍を読んでいなければいけないというわけではありません。

「この本を読んでみて、まず思ったのは洋書にありがちな同じ主張を繰り返す竜頭蛇尾の構成になっておらず、ぎっちり最初から最後まで様々なルールとそれが設定された背景について述べているなということです。各章にまとめもついていて、さらに巻末にチェックリストまでついている親切ぶりです。自慢話のような雰囲気も薄いですし、日本人になじみやすい本だと思いました。」

550ページもある大著ですので手に持っただけでもかなりプレッシャーを感じてしまうのが本音です。そこでこのワークショップでは書籍の内容をわかりやすくかいつまみ、ワークとして経験していくことで理解を深めていきます。

「『ワークシフト』と『ワーク・ルールズ!』の違いを端的に言いますと、前者は2025年に向けての社会変化、仕事の変化を下敷きに、ワーカーがいかに働いていかなければいけないのかを書いています。だからワーカー目線で未来を議論することになります。一方、後者は優秀な人をいかに集めるか、そしてその人たちのパフォーマンスをどうやって引き出すかというマネージャー、人事目線で書かれています。未来のことではなく、今まで実際に行われてきたことをもとにして直近の議論が起こるのも違いですね。」

『ワーク・ルールズ!』を読んでいて、書かれている内容がどこか他人事に感じられた方がいらっしゃるかもしれません。それはもしかしたら人事やマネージャーといった業務、職階に今まで関係がなかったことが原因ではないでしょうか。ただ、「どう働くか」ということと「どう働かせるか」ということは表裏一体、切り離すことができません。そこでなるべく自分事にして考えてもらおうというのが本ワークショップの意図です。



■ミッションとキーワードの設定

「会社の存在意義というか、使命といえるのがミッションです。Googleのミッションはとてもシンプルに設定されています。そしてミッションが道徳的であり、具体策が盛り込まれず、対象を限定しないものになっています。大事なのはミッションに完結がないことだとも書かれていて…。」

Googleのミッションを紹介した後、山田が提示したのは世界的に知られている日本企業数社のミッションです。「自社の複数の事業領域を串刺しするわかりやすいミッションを掲げている会社」、「企業理念から行動指針までがびっしり書かれていてどこがミッションなのかわからない会社」、「シンプルな単語を掲げているけれども、漠然としすぎていてなにをしているのかわからない会社」など、いざHPに書かれているミッションを見てみると、定型がなく、会社ごとにいろいろな書き方があるのだと気づきます。

「今日はGoogleをお手本にするということで、まず、自分のプロジェクトを想定していただき、それにシンプルで道徳的なミッションを与えてください。顧客や市場、利益や価値という言葉からはいったん離れていただければと。」

配布されたプロジェクト構想シートに参加者のみなさんが立ち上げたいプロジェクト、会社名を書き込んでもらいます。そしてそのプロジェクトのミッションを掲げるのです。

「ただ、Googleもミッションを掲げるだけではうまくいかないことはわかっていて、そのミッションを達成するための判断材料として透明性や公平性、新規性といったキーワードを設定しています。そこでみなさんにもミッションを遂行する上で重視するキーワードを3つ設定していただきたいと思います。書き終わったらチームで共有してみてください。」

最初はいきなりプロジェクトを考えるということで、戸惑っていた参加者のみなさんもミッションからキーワードと作業がより具体的になっていくに従い、書き出すスピードも上がってきました。さらに自分がやってみたいプロジェクトを互いに紹介するということで場が次第に温まってきたのがわかります。



■雇った人を徹底的に大事にする

「ではプロジェクトで採用したメンバーたちに思う存分活躍してもらうためにはどんなルールを設定すればいいでしょう。今日は普段私たちの研究所で使っている空間、ツール、働き方という3つの要素を考えるフレームを用いて書き出してみましょう。」

プロジェクトを遂行する際に集まってきたメンバーが十分なパフォーマンスを発揮できなかったり、働きにくさを感じていたりすることはミッション遂行の大きな障害になります。そうしたことが起こらないようにルールを設定しようというのです。この説明が終わると会場から質問が出ました。

「普通は様々なルールを設定して、それにあった人、その条件で活躍できそうな人を採用すると思うんですね。でもGoogleではそれが逆で、集まってきた人に対してルールを考えるという流れになっているのはなぜなんでしょうか。」

うーん。確かに一般的な日本の企業ではある人が採用されたからといってルールを変えたり、プロジェクトチームのためにワークスタイルを臨機応変させるといったことはあまり行われていないような気がします。

「それは本書で一貫している人(ワーカー)の扱い方が強く関係していると思います。Googleでは徹底的に時間とコストをかけて人を採用していて、その基準はすくなくとも自分より優秀な人を選ぶということです。だからある意味採用された時点で優秀であることは担保されている。それなのにその人がパフォーマンスを発揮できていないとしたら、環境そして環境をつくっているルールが悪いということになります。だから柔軟にルールを変えていくんだと思います。」

山田が強調したのは本書でかなりのボリュームを割いて紹介されているGoogleの人事採用の流れです。採用時に細かな基準を設定してしまうと「○○大卒」とか「○○才以下」といったことで本当に優秀な人がはじかれてしまう可能性があります。それを避けるために時間をかけて複数人で面接をしたり、パフォーマンスを数値で評価したり手間とコストをかけて採用を行います。そのかわり採用が決まれば、その人の能力を引き出すために手厚くフォローするのです。

「この本を読んで衝撃を受けたのは採用した後のトレーニング、研修にコストをかけず、採用にコストを集中すべきだと書いているところです。能力がわからない人を採用してしまうと、業務をこなすための技術を教えなければいけないので研修が必要になります。だったら採用時に能力を把握しておけばいいじゃないかという考え方です。」

このあたりも日本の多くの企業が一斉研修を実施したり、様々な研修メニューをそろえているのとは異なります。



■ミッションからルールへの一貫性

「空間」「ツール」「働き方」という3つの視点でルールを設定するというワークを終えるとプロジェクトシートの完成です。参加者のみなさん一人ひとりが内容をプレゼンし、全体で共有します。

「優秀な人の集まりなので、働く時間や場所は限定しないようにします。」
「離れていてもやっぱり週に1回は顔をあわせてうち合わせをしたいので、それを唯一のルールにします。」
「海の近くや高原なんかでリラックスしながら働いた方がいい仕事ができる気がするので本社はそういう場所に置こうかな。」

みなさんいろいろなルールを設定されていますが、多く聞かれたのは「自由」、「自律的」、「快適」といった単語でした。みなさん自らのプロジェクトに参画してくれたメンバーをいかに働かせるか、持っているパフォーマンスを発揮してもらうか自分事で考えられています。

「この本を読んで、そのままGoogleのマネをするというのも、著者の本意ではないと思うんです。食事をタダで提供するとか、オフィスの真ん中にキッチンをつくるとかそういうのは目に見えやすい、気づきやすい表層の部分です。でも、本書から学ばなければいけないのは、そういったわかりやすい工夫ではなく、ミッションからキーワード、それに照らし合わせたメンバーの採用、ルールの設定といった流れの一貫性だと思います。これがぶれていないことによってその企業(Google)が魅力的に感じられる。それでさらにそこで働きたいと感じた優秀な人が集まってくるというサイクルです。」

今回の読書会では簡易的ではありますが、ミッションの設定、判断基準となるキーワードの選定、メンバーの採用、ルールの策定といった一連の流れを体験し、一枚のプロジェクトシートを完成させることができました。

ただ読むだけでは把握しきれず、自分事に置き換えて考えられなかった内容がワークショップという経験を介すことにより、参加者のみなさんの中で昇華されたのであれば本会の目的は完了です。

さて、従来の「どう働く?」という視点とともに、今回体験した「どう働かせる?」といった視点からは何が見えたのでしょうか。

開催日時2015年9月30日(水) 19:00-21:00
会    場Future Work Studio Sew
開催場所東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート10F
参 加 費500円(懇親会費として)
主 催 者Sew運営委員会
概要 リーダーとして、経営者の立場になって「誰とはたらきたい?」「どうやったら気持ちよくはたらいてもらえる?」を考える―


ラズロ・ボック『ワーク・ルールズ! ― 君の生き方とリーダーシップを変える』(東洋経済新報社刊,2015)がSew周辺で大ヒットしています。

Googleで採用されている人事制度や福利厚生制度に「こんなことまで!」「ここまで透明性を高めるのか!」という声がある一方「Googleだからできるんだよね。」とか「どこから始めたらいいのかわからない。」といった声も・・・。

そこで、多様なバックグラウンドをもちならがも非常に優秀な人たちを集めるには、そしてその人たちに気持ち良くはたらいてもらうにはを一緒に考えてみたいと思います。

さらにこの本、総ページ数500越えの「お厚い」存在。読みはじめたはいいけど、人事制度のあたりで挫折してしまい、「積ん読」になっているなんてことはありませんか?

せっかくの話題本、内容を一人で考えたり、読みかけで挫折してしまうのはもったいない…。

読書会といっても難しい顔をして内容を検証するのではなく、チームごとに分かれてのワークショップ形式でこれからのことを考える場にします。

読みかけの人でもOK!
お気軽にご参加ください。
詳細説明 18:30 開場
19:00 スタート 意図説明
19:15 ワークショップ開始
20:45 まとめ・ふりかえり
21:00 懇親会
22:00 解散

山田雄介さん

Yusuke Yamada

岡村製作所 オフィス研究所 研究員

横浜国立大学工学部卒業後、住宅メーカーで営業、設計、企画職で住まいづくりに携わる。
2008年に岡村製作所入社、営業職を経験し、現在、人と環境にやさしいワークプレイス/ワークスタイルやダイバーシティーをテーマとした研究に従事。またコンセプト開発、国内外のワークトレンド調査、社内外で講演を行っている。


■ラズロ・ボック『ワーク・ルールズ!』東洋経済新報社 2015年刊
http://store.toyokeizai.net/s/info/workrules/

注意事項

購入された方はお手元に『ワーク・ルールズ!』をお忘れなく。

参加方法 本イベントは終了いたしました。

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