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Sew イベント アンドロイドに恋をするのか?

ブキミの谷、イケメンの山

レポート

■骨があなたを語る

「復顔は手元にある頭蓋骨に筋肉をつけて、皮膚をのせていきます。ある程度私の解釈が入る部分もありますが、基本は骨にしたがってつくっていくんです。でも、アンドロイドには頭蓋骨がありません。最初にどういう顔にするか、何歳くらいなのか、男なのか女なのかといった外見を決めて、設計し、そこに収まるようにメカを組み上げます。」

復顔師の肩書をもつ、戸坂さん。昨年末にアンドロイド製作会社に転職し、造形の修業を積んでいます。

「具体的なモデルがいるアンドロイドをつくる場合には、とにかくたくさんの資料にあたります。たとえば夏目漱石であれば、みなさんお札の顔だと思われるでしょうが、実はあれはお札用に加工されていて、ほかの資料やデスマスクを見ると、もうちょっと違う表情だったのではないかということがわかります。」

最初は恐竜の展示物製作などを手掛けていたという島谷さんはアンドロイド製作に携わって20年近く。誰もが認める、この道のレジェンドです。近年はTVCM用につくったマツコロイドなどで注目を集めています。

「顔って、自分は毎日見ていますけど、相手の顔をまじまじと見ることはあまりないんですね。特に日本人は目があったりすると恥ずかしいので、意外と相手の顔を見ていなかったりします。」

戸坂さんは美術解剖学、復顔の勉強をするなかで、骨にはその人の生活がそのままあらわれることに気づいたそうです。何を食べているのか、どんな職業についているのか、どんな枕で寝ているのかといった生活のなかのさまざまな習慣や行為がそのまま骨にあらわれるためです。

「江戸時代は武家よりも町人のほうが固いものを食べていました。武家は調理された軟らかいものを食べていたのでアゴが細く、すっとした顔立ちです。農民や荷卸しをする職業の人は歯を食いしばるので非常にすり減っていて、エラがはった顔つきになっています。頭だけではなくて飛脚の足の骨は太くなるなど骨を見るといろいろなことがわかるんですね。だから自分の骨や表情について考えることは、自分がどんな人でどんな生活を送っているか考えることと同じなのです。」


■アンドロイドだけで解決しない

「アンドロイドには技術的な壁があって、人間の動きをそのまま再現できるかというと相当困難だといえます。例えば、視線を変化させるとき、人間は目の焦点を変えるために瞬きをします。ほんの一瞬ですが、あまりの速さにアンドロイドではその瞬きを再現できません。そこで、どうするかといえば、目を半分だけ閉じさせるんですね。そうするとそれを見た人間は瞬きしたものだと感じる。残りの半分は人間が自分の想像で補っているのです。」

島谷さんは「人間らしさ」について長年試行し、アンドロイドに盛り込んできました。その過程で気づいたのは、アンドロイドだけで完ぺきに人間の動きを再現するのではなく、アンドロイドを見る人間が自分の頭で補ってくれるような動作を設計するということです。

「展示会でアスナを立たせて、動作させていると“目があった”と感じる人が結構いるんですね。でも、アスナに高度なセンサーを積んで、相手と目があうように精密な制御をしているかというと、そんなことはまったくありません。どういうことかというと、人間の側で“目があったはずだ”と感じて“意思疎通ができた”、“相手に意識があるのだ”と補って解釈しているのです。」

人間が相手に人間らしさを感じるのは、ある程度自分の中で次の行動や反応の予測ができ、その通り実行されるということが重要になります。完ぺきにつくりこんでしまうのではなく、相手に解釈する余地をあたえるという手法はとても興味深く、参加者のみなさん熱心にメモをとられています。

「完ぺきな美人というのは注目を集めますが、何かひとつでもほころびがあると人間らしさが一気に消え去り、ブキミの谷に転落してしまいます。そこで、アスナはとびきりの美人ではなく、そこそこの15歳に見える顔にしておいて、立っていても気づかれないくらいを目指しています。アンドロイドが自然に存在できるというのは私たち技術者の目標のひとつですね。」


■イケメンの条件とは

「A-Labに入社して、人型造形師という肩書で活動しているなかで、つくってみたいと考えているのが"イケメンアンドロイド"です。それも若い女子からだけではなくて老若男女だれから見てもイケメンだと思われるようなアンドロイドがつくれたらなと。」

現在製作されているアンドロイドの大半は女性型で男性型は非常に少ないそうです。それがゆえに男性型アンドロイドをつくるときのポイントも良くわかっていません。

「みなさんに持ってきてもらったイケメンの写真には、当然イケメンの条件が含まれています。そこで、お互いに写真を見せあいながら、その条件を挙げていってほしいのです。目が大きいとか、鼻が高いとか部位ごとの特徴もありますが、ひげをはやしているとか、しわが寄っているといったディテールも重要です。」

イケメンワークが始まると、会場は次第に熱気を帯びてきました。スマホの画面を見せて、何枚も連続でイケメンを紹介する方。女性誌のイケメン特集を広げて特徴を挙げていこうとする方。男性も男から見たイケメンの条件を挙げています。

「言葉で条件を挙げることができたら、今度はお配りした人型にあわせて表情を描いてみてください。目の位置と口の位置をあわせているので、それを参考にしていただいて。髪型によってだいぶ印象が変わりますので注意してくださいね。出来たら前にきてチームごとに発表していただきます。」

戸坂さんの声が通らないくらい、参加者のみなさんイケメン談義に熱中しています。


■浮かび上がるイケメン像

「外国人の写真を持ってきたので、そこから彫(ほり)が深いということと、ひげは適度にはえていたほうがいいですね。髪型はさわやかな感じで、さらっと流れている。ハゲはダメかな。」

「たれ目なほうが親しみがわくというか、優しそう。あとはアゴが平らで全体的に薄い顔がいいということになりました。」

各チーム、出来上がった顔の部位を指さしながらイケメンの条件を挙げていきます。
男性だけのチームについては、女性から見てもイケメンか挙手で答えてもらいます。

「男性から見てイケメンだと思うのは、やっぱり頼りがいがあるというか、強そうだということだと思います。ただ、凶暴で怖いというのではなく、優しくて、面白いという親しみやすさを兼ね備えていることが大事です。格闘家のような感じで、髪は短髪で、骨格ががっしりしていて、顔のパーツが少し中心によっている。眉毛は太いほうがいいですね。」

女性チームではボウズという条件があらわれませんでしたが、果たして、反応はどうでしょう。

「この人がイケメンだと思う人は手を挙げてください。」

と戸坂さんが呼びかけると、多くの手が挙がります。ここから、条件さえそろえば坊主でもイケメンになりうるということがわかりました。

「今回、透明なシートにイケメンを描いてもらったのには理由があります。それぞれのチームで描いたイケメンを重ねあわせると、本日参加されたみなさんが発見したイケメンの条件をすべて盛り込んだ顔があらわれるんです。さて、どうなるでしょうか…」

戸坂さんが7チームのシートを次々と重ねていきいます。次第にあらわれてくる顔。

「はぁー、確かにイケメンだ!」
「うぉお、これはイケメンだー!」

そこかしこから感嘆の声、納得のセリフが聞こえます。


今回は「美容」や「笑顔のつくりかた」といった一般的な顔へのアプローチではなく、骨や筋肉の特徴から自分の生活や自分が置かれている環境を考えようというアプローチでプログラムを進めていきました。同時に「人間らしさ」とは「自然に存在するとは」という普段あまり考えないような内容もとりあげています。

この顔をもとにつくられるかもしれないA-Labのイケメンアンドロイド。今から登場が待ち遠しいですね。

開催日時2017年2月22日 19:00-21:00
会    場フューチャー・ワーク・スタジオ ”Sew”
開催場所〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート10F
定    員18名
参 加 費1000円(資料代、材料費として)
主 催 者A-Lab / Sew運営委員会
概要 いい表情や美しい顔の条件はなんでしょうか。

瞳が大きいこと?顎がほっそりしていること?鼻が高いこと?人によってあげられる条件は異なります。いい表情の条件を考えると、ただ単に造形的な美しさと直結しているわけでもなさそうです。

「人の表情には、その人がどんなものを食べているか、どんな生活を送っているかのすべてがあらわれます」と語るのは復顔師として骨格や筋肉から顔と向き合ってきた戸坂さん。縄文時代、室町時代、江戸時代…時代ごとに代表的な顔は異なるといいます。みなさんの顔にも先祖代々受け継いできた遺伝情報に加えて、送ってきた生活環境、その積み重ねが込められているのです。

「理想の顔をつくろうと取り組んでいると、必ずブキミの谷に陥ります」と語るのはアンドロイドの開発に取り組んでこられた島谷さん。美しさを追求していくこととは別に人間らしさ、そして生きているという感覚はことなるというのです。どんなに美しいマネキンよりも街で出会うような人間のほうが違和感なく、安心を覚えるのはなぜでしょうか。

本ワークショップでは、顔、表情の形成され方や、認識のされ方を学びつつ、自分の顔や周りの参加者の顔がもつ個性を拾い上げていくところからスタートします。いくらメイクや演技によって表情が変えられるとしても、その通り認識されるとは限りません。

そして後半は老若男女誰からも「イケメン」と思われる顔について、その条件を挙げていきます。アンドロイド製作においては、誰もが振り返る顔をつくるよりも、すれ違っても違和感を感じない顔をつくるほうが難しいといわれます。はたして「自然なイケメン」の顔はどんな条件で設計したらよいのでしょうか。

アンドロイド好き、造形好きな方だけでなく、表情に興味がある、魅力的な顔に関心がある方の参加も大歓迎。

半年後にはここから出された条件を反映させて、イケメンアンドロイドが出来上がるかも。美容とはまた違った視点で顔について考えてみませんか。
詳細説明 18:30 開場
19:00 趣旨説明、注意事項連絡
19:05 顔のつくられ方、表情のつくられ方<戸坂さんレクチャ>
19:25 ”自顔紹介ワーク”自分の顔を紹介してみよう。
19:50 人間らしさ、自然な表情とは<島谷さんレクチャ>
20:10 イケメンの条件抽出、共有ワーク
20:30 各チームが考えるイケメンの条件投票
20:40 イケメンの条件決定
20:50 クロージング

21:00 - 22:00 懇親会

島谷 直志さん 戸坂 明日香さん

島谷 直志(しまや ただし)さん

A-Lab 最高ブランド責任者

アミューズメントロボットの製作会社にて特注造作物(恐竜・ゲームキャラクター・野外モニュメント等)の製作を経て、現在は日本で唯一のアンドロイド・ロボット製作会社A-Labにてメカ設計を行う。



戸坂 明日香(とさか あすか)さん 

A-Lab 人型造形師

頭蓋骨に粘土を付けて生前の顔を復元する復顔師。2013年より科学コミュニケーターとして日本科学未来館に勤務し、展示の解説や企画・設計等を行う。2016年より人型造形師(Android Artist)としてA-lab勤務。

注意事項

・「この人がイケメンだ!」という人の写真、画像を一人以上持参してください。そこからイケメンの条件を抽出します。男性の方は同性として好感が持てる顔でお願いします。

・自分の顔の特徴、写真を撮られるときにする顔など、いくつか自分の表情のバリエーションについて考えてから来場されると、より盛り上がると思います。

参加方法 本イベントは終了しました。

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