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Sew イベント

生きるように働くことを考える

レポート

ボキャブラリーの欠乏
「小さい時、何になりたいか尋ねられて、男の子ならパイロット、女の子ならお花屋さんと答えませんでしたか。」

中村さんはそう切り出しました。

「でもそれは本当になりたいものでは無くて、実は職業に対してボキャブラリーが少なかったからそう答えていたのかもしれない。そう思ったんです。」

中村さんは今回のワークショップの目的として職業や仕事に対するボキャブラリーを増やすということを掲げました。自分の仕事について考える時、すぐにあきらめてしまう、迷って一歩が踏み出せないというのは「知らない」「語れない」というところからきているのではないかというのです。

例えば転職を考えていたとしても漠然と何から始めてよいのかわからない、自分が何に向いているのかわからない。組織に縛られずに生きるとか田舎で暮らすことに憧れていてもどこか頭の中でそれらのステレオタイプが出来上がってしまっていてそれ以外の選択肢が思い浮かばないということはないでしょうか。

中村さん自身もそういう時期があったそうです。建築を学んでいくうちに、建物を建てるよりもプロジェクトの川上に携わりたいと考え、デベロッパーに就職。都市開発に取り組んでいたそうです。しかし、あるとき、週6日同じバーに通っている自分の行動に疑問を持ちます。お酒も好きじゃない自分が何で毎日のようにここに来ているんだろうか。よく考えてみると自分はお酒を飲みに来ているんじゃなくて、バーテンダーに会いに来ているんだということに気付き「人をつなぐ仕事がしたい。場を作る仕事がしたい。」と会社を辞めて東京仕事百貨を始めました。



血が通う単位
中村さんがとても大事にしているスケールがあります。それは自分の居る範囲で、自分の思いが届く範囲でということです。例えば「社会」という言葉は今巷に溢れかえっていてなにか崇高な問題意識を持ち合わせているように感じられますが、その実態は誰にもつかめていないのではないか。それよりも自分は「隣」という実感できる存在を大切にしたいと中村さんは言います。同じように「損得」ではなく「贈り物」として仕事をする。「過去未来」の話をする前に「今」の自分を考える。「他人事」ではなく「自分事」として仕事を捉える。「オンオフ」を意識せず「生きるように働く」。どれもはっとさせられる対比です。

なんとなく会話の中で使う「社会」という単語や「過去未来」の話。そして無意識に行っている「オンオフ」、「損得」の計算。これらを繰り返す中で自分の居場所を次第に狭めていないかと中村さんは問いかけます。実はそういう漠然としたスケールや価値観とは違うところに僕達の幸せはあるんじゃないかと。



イメージを抱く、結びつける
「実はどのように生きたいか。生きる状態のイメージを手もとのカードに書き出してみてください。」

これは中村さんが参加者に最初に課したワークです。かなり漠然としていますが「どのように働きたいか」ではなく「生きたいか」と聞くことで色々な束縛から逃れることができるのだと気付きました。お金のこと、人間関係、生きがい、年齢、趣味、性質・・・色々なことが頭の中を駆け巡ります。最初は若干戸惑っていた参加者もぽつぽつと単語を書きはじめ、それを文章にしていきます。

「じゃあ、それを周りの3人ぐらいの人と共有してください。本来自分はこうありたいという気持ちをこめて。」

堰を切ったかのように一斉に会話が立ち上がります。中村さんがあえて「状態のイメージ」というフレーズを使ったことの効果がここに現れてきます。それは細かなディテールについて話す、具体的なことを話すというプレッシャーを取り払い、自分の心の底にあるものを共有するためのハードルを下げる役割を負って届けられた言葉だったのです。「のんびりする」「大好きな人に囲まれて」「田舎で暮らす」普段は恥ずかしかったり、生活の中で忘れさられたりしているような言葉が次々とやり取りされます。発するだけでなく受ける方も「そうそう」「近いな」と寄り添うようにイメージを拾い上げていきます。なんとなくその3人の周りにやわらかい泡のような境界が生まれたような気がしました。



身の丈ボリュームをつかむ
「じゃあ、次は生きたいように生きるためには。理想と現実を結び付けるイメージを書き出してみてください。」

生きたいように生きていくにはどれくらい働かなければいけないのか。中村さんは身の丈のボリュームを探ってみようと誘います。ひと月いくら必要か。そのために何をするのか。どのくらいの時間や労力をかければ自分が生きたいように生きていけるのか。一気に現実の世界が迫ってきます。「八万円くらいかな」「パートで週3日くらい働けばあと4日は好きなことができるかもしれない」「半年日本で働いて、半年海外で好きなことをするってのもありかな」「自給自足ならほとんど現金は要らないよね」個人ワークを進めていくなかで独り言があちこちから聞こえてきます。「意外にいけるかも」という声も聞こえてきます。

「土日にできることから考えてみるというのを僕は薦めています。本業に支障をきたさない範囲でできることからやってみる。最初から週5日でというのははっきり言ってリスクが大きいじゃないですか。だからじんわり進めていく感じ。そうしてつながりあう人のネットワークもじんわり広がっていく感じ。そんなのはどうかなと。じゃあ、また違うチームを組んで今書いたことを共有してみてください。」

最初のグループ討議とはまったく違ったテンポです。より具体的な話になった分相槌よりも意見が沢山出ます。生きていけるミニマムなボリュームを共有する段階でまずひとつの波が起こります。それは決して批判ではなく「そのくらいで生きていけるんだ」とお互いが確認している過程です。その後にやりたいことをするためにする仕事の話。誰にでもできるただお金を得るための仕事ではなく、稼げるか不安を抱きながらも「好きなこと」を仕事にしていけたらという意見を出す人が多いのが印象的でした。



捉えられない働き方、生き方
最後は全体で今日の感想を共有します。いろいろな生き方のイメージを共有したことから得られた単語。具体的にどのように稼いで生きていくかについて意見を交換することで不安を解消していった語彙。身の丈で「自分事」で考えることにより考え方の幅が広がったという意見。最後に中村さんは、

「まずはこういう場所に参加してみる、行動してみるということが大事だと思うんです。ボキャブラリーは増えるだろうし、まずはできることからやっていくしかないですから。」

抽象度をコントロールし、内面的な課題から実生活を意識する身の丈のボリュームまでを通過していく行程で次第に「生きること」と「働くこと」の境界は曖昧になりました。しかし、それは今まで勝手に押し付けられてきた働き方や生き方の型では捉えられない、自分なりの生き方が現れてきた証ではないでしょうか。

開催日時2012年10月3日(水) 19:00~21:00(18:30開場)
会    場フューチャーワークスタジオ ”Sew”
開催場所東京都千代田区紀尾井町4-1 ニューオータニガーデンコート10F
定    員40名
参 加 費1000円(飲みもの、軽食代として) *中村さんの著作をご持参の方は500円になります
主 催 者Sew運営委員会/株式会社シゴトヒト/日本仕事百貨
概要 仕事は人生で最も多くの時間を費やすもの。だからこそ仕事は仕事、プライベートはプライベートと考えたり、単に生活するためだけの手段として捉えるのは、なんだかもったいないような気もします。

日本仕事百貨では「生きるように働く人の仕事探し」のために求人情報を提供しています。一つひとつの職場を訪ねて働いている人と話すことで、働いている人の思いや仕事の大変なところも紹介し、結果として仕事と人の出会いを提供してきました。

もちろん「生きるように働く」ことがすべてではありませんが、それを実現するにはどうしたらいいか一緒に考えてみようと思います。生活のあり方から仕事への思いを整理することで、自分の本音と向き合うような時間になればと考えています。
詳細説明 【タイムテーブル】

18:30 開場
19:00~21:00 ワークショップ
21:00~22:00 パーティー

中村健太さん

1979年東京生まれ。株式会社シゴトヒト代表取締役。生きるように働く人の求人サイト「東京仕事百貨」を立ち上げ、「自分ごと」「隣人を大切にする」「贈り物」な仕事を、全国各地で取材し紹介している。そのほかにもまちおこしなどのディレクター、各種メディアやプロジェクトのプランナー、キャリア教育などに関わり、「シブヤ大学しごと課」ディレクターや「みちのく仕事」編集長も務めている。

注意事項

シゴトヒト文庫として刊行されている中村健太氏、友廣裕一氏の二人の著書「シゴトとヒトの間を考える シゴトヒトフォーラム2012 with 奈良県立図書情報館」をご持参いただいた方は参加費が半額になります。ご利用ください。

参加方法 定員となりましたので、募集を終了させていただきます。(2012.10.02 16:00)

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先着順にて受付し、定員に達し次第、締切とさせていただきます。



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 送付先 : Sew_Officelabo@okamura.co.jp


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